第77章 自称・約束を守る誠実な男
「…何も変わっていないな。」
「えっ…!?」
「クレアは、何も変わっていない。左脚を失っても、兵士として働けなくなっても、痩せちまっても…今までと何も変わらず、キレイなままだ。」
そう言ってリヴァイはクレアの頬を、胸元を、腹を、なぞるように撫でる。
「兵長……」
「奇行種クレアの事だ。兵士引退になって、気落ちしてるんじゃないかと思ってな。」
「……確かに、立体機動装置が使えなくなってしまった事は寂しいです…もとからじっとしているのが苦手なので、これから先の事に不安を感じる時もあります…ですが、新しい使命もできましたので…まずはそれを目指そうと思っています。」
「使命とは、医師免許の事か?」
「はい…兵力としてではなく、兵団を影から支える役割ですが、誰でもできることではないので、私なりに頑張ってみようと思ってます。」
「そうか。気に病んでいないならそれでいい…だが念の為に言っておく。俺はお前が例え人の役に立つ仕事ができなくなっても…自分の身の回りの事ができなくなっても、寝たきりになっても、ずっと好きでいる自信がある。現にこうして状況が180度変わったお前に対して、何も気持ちの変化はない。だから1人で病んでおかしな方向に暴走するのだけは絶対にやめろよ?」
「…………」
ずっと好きでいる自信がある。
リヴァイの気持ちを疑った事などないが、改めて言葉にされ、クレアの心は大きく揺れた。
その言葉1つで、きっと自分はどんな困難にも立ち向かって行けるだろう。
どんなに過酷な試練にだって喜んで挑んで行けるだろう。