第77章 自称・約束を守る誠実な男
ーその夜ー
クレアは医務室のシャワー室を借りて身体を洗うと、医師に包帯を変えてもらってから自室に戻った。
ードサッ!!ー
「ふわぁ……疲れた……」
車椅子からおりるとそのままベッドにダイブするクレア。
ハンジとクレアは、タリアの店を出た後、軽く食事をして、香油屋へ寄ってから帰ってきた。
車椅子に乗って来店したクレアに当然だが驚いた香油屋夫妻。
だが、クレアの無事がわかると、涙を流しながら喜んでくれた。
それはまるで、本当の娘が帰ってきたかのような喜びようだった。
それと同時に、調査兵団次期団長となったハンジの姿を見て恐縮する店主のグレン。
香油屋ではお茶をだしてもらい、楽しい一時を過ごさせてもらった。
充実した1日だったのは良いのだが、体力の落ちてしまったクレアには、少しハードなスケジュールとなってしまったようだ。
「なんか自分の身体じゃないみたい…前はこんなんじゃなかったのに…医務室で先生のお手伝いをして、少しは体力戻るといいんだけどな…」
そんなひとり言を言いながら右足に履いていたショートブーツを脱ぐと、ポイッと放り投げる。
疲れて少し気怠くなったクレアは布団を抱きながらそのまま目を閉じてしまったのだが…
眠りの世界に入ろうとした所でハッと目を開けた。
ーガチャッー
カギをかけたはずの扉。
誰かが外から解錠した音がしたのだ。
「だ…誰……?」
自分のカギはちゃんとなくさずに持っている。
スペアのカギは団長であるハンジが管理をしているはずだ。
ハンジはノックもせずに扉をあけるが、カギのかかってる部屋を勝手にカギを使って入ってくるような人間ではない。