第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ

「ここ！！」



「へ…？！」



「クレアにはここの医務室で働いてもらおうと思ってるんだけど…どう？できたら働きながら医師免許も取ってもらいと思ってるんだ。」



「……………」




クレアは今の話の流れからてっきり、兵団から出て外で働くものだと思っていたのだが…

まさかのまさか過ぎる提案にクレアはポカンと口をあけてしまった。




「え？何？もしかしてイヤだった？！」



「あっ、い、いえ…そんな事はなくてですね…！！」




ハンジの驚いた様子に我に返ったクレアは、慌てて否定をする。




「ここの医務室で働けるなんて…その…良すぎてというか…なんと言えばいいのでしょう…こんな私が…本当に宜しいのでしょうか？」




「もちろん！先生も高齢だからこれからはもう少し休みを増やしてあげたいんだ。クレアが医師免許を取得すれば休みも交代で取れるし、免許を取るまでは看護師として先生を手伝える。調査兵団に編入を希望する人間が増えてまた組織として動く事ができたら、兵士の健康を守る医師の力はより一層必要不可欠。クレアはすでに親御さんから基礎は受け継いでるし即戦力だ。こんないい人材はいないってくらいだよ！」



「ハンジさん……」



「でも、本当はね、本音はね……クレアにはずーっと私の側で仕事を手伝ってもらいたかったんだ。」



クレアを力強く推薦したかと思ったら、今度は少し苦笑いをしなが本音を語ったハンジ。



医務室での勤務は、障害を負った兵士の身としては恵まれすぎてる程の待遇だ。

もちろん不満など無い。

だがクレアはハンジの事も無視できなかった。