第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ
「それにしてもリヴァイの言い方腹立つよなぁ!!“クソが!”ってなんなのさ?!そこまで言うなら“メガネ”もつけろっての!!」
そう言いながらドカッと応接セットのソファに腰掛けたハンジ。
どうやらハンジは、“クソ”と呼ばれるくらいなら“クソメガネ”と呼ばれる方がいいようだ。
なんだか、ここに来るまでに緊張していたのが不思議に思えてしまう程ハンジは今までとなんら変わりはなかった。
思わず拍子抜けしてしまう。
団長の執務室にいても、ハンジは何も変わっていなかった。
唯一変わっている事といえば、左目の眼帯と、若干疲労がうかがえる…という点だろうか。
片目で1日中書類仕事をこなせば、相当な疲労がたまるはずだ。
無理もないだろう。
「ハンジさん…だいぶお疲れなんじゃないですか?今紅茶淹れますので、お話は飲みながらしましょう。」
「え?そんないいよ!危ないよ…?!」
「さすがにトレーを持って歩くのはできないので…そこはお願いしたいのですが…それ以外は問題ないです。少々お待ち下さいね?」
そう言うとクレアは簡易キッチンの前に片脚で立って、湯を沸かし始めた。
しばらくすると、執務室の中は紅茶の深い香りでいっぱいになる。
「ふぁ〜〜〜、クレアの紅茶久しぶりだ。やっぱりコレだよね!!美味しい〜!!」
ハンジはクレアから紅茶セットののったトレーを受け取ると、さっそく香りを堪能し飲み始めた。
「ありがとうございます。片目に慣れないまま1日中書類仕事では目からの疲れがたまります。頭痛や吐き気が出る前に、なるべく休憩などして身体を休ませて下さいね…」
「う〜ん、わかっちゃいるんだけどね。中々うまくメリハリがつけられなくて…今までモブリットに押し付けていたツケがまわってきたかな?!ハハハ…」