第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ
ー数日後ー
口から食事を摂れるようになったクレアは、みるみると体力を取り戻し、医師から自室での生活の許可が出た。
脚の切断部位はまだ完全ではないため、しばらく医務室通いに服薬は続くが、寝たきり生活からは解放されるため、クレアの気持ちは晴れやかだ。
「先生、長い間お世話になりました!!」
「無事に退院してくれてホッとしているよ。これは私からの退院祝いだ。練習は無理しない程度にしておくれよ。」
「あ……」
医師が退院祝いと言って持ってきたのは、クレアの身長に合わせて作った松葉杖だった。
「車椅子の後ろに引っ掛けられるようにしておいたから、こうやっていつも持ち歩くといい。」
「ありがとうございます先生!!これがあればゆっくりですが歩けますね!私嬉しいです!」
「ハハハ、喜んでくれてよかった。くれぐれも無茶はしないでおくれよ?」
無邪気な笑顔が可愛く、医師は孫を愛でるようについ頭を撫でてしまった。
「先生〜!あんまり子供扱いしないで下さい…私これでも20歳です!はーたーち!!」
「そうじゃったな!!すまんすまん!!」
年配の医師から見ればクレアは孫同然。
時々年齢を忘れてはクレアに怒られてしまう。
こんな人形のようなクレアが、訓練兵団を首席で卒業し、壁外調査では数え切れない程の巨人を討伐してきたというんだから驚きだ。
「そうだクレア君。部屋に戻る前にハンジ団長の所へ行きなさい。」
「え?ハンジさんのお部屋ですか?」
「うむ、今後の君の待遇が決まったそうだ。」