第75章 導きと再会
「フレイア…私、私も話したい事がたくさんあるの!!謝りたい事に、御礼も…だからまだ戻りたくない!!フレイアにだって話したい事…たくさんあるの!」
「ありがとうクレア…私もクレアともっと話がしたい。でもここであまり長居すると、本当に戻れなくなっちゃうから…もうさよならしないと…」
「イヤだよぉ…せっかく会えたのに…まだ一緒にいたいよ!!」
フレイアはクレアを抱き起こして立たせるが、クレアは駄々をこねた子供のように泣き出すと、フレイアの袖を掴んで離さなかった。
「クレア……」
早く戻さないと、現世の世界でクレアはもう目を覚まさないかもしれない。
フレイアが困惑していると、まだクレアに声をかけていなかった人物がひょっこりと出てきてニコリと笑った。
「ねえ、クレアさん?!」
「あ…アンドレ……」
クレアの前に現れたのはアンドレ。
アンドレは自分の手で安楽死をさせた後輩兵士だ。
アンドレの顔を見てあの時の事を思い出すと、クレアの胸がズキリと痛む。
「あ…あの…アンドレ…私、私ね……」
「クレアさん、俺とした約束…ちゃんと覚えてますか?」
「え……?」
何かを言おうとしたクレアの言葉を遮り、アンドレが問いかけるが、クレアはすぐに思い出す事ができなかった。
「いやだなぁ、忘れちゃったんですか?」
アンドレはフレイアの袖を掴んでいる手をそっと自身の手に取り優しく握る。
「アンドレ…??」
いきなり手を握られて、ピクリと肩が震えてしまうが、アンドレはそんなクレアの反応にも構う事なく握った手をグッと自身の方に引き寄せた。