第74章 選択と衝突と決断
「クレア!?おいジャン!!」
「だ、大丈夫です兵長…呼吸は浅いですが…止まっていません。」
ジャンにもたれかかって苦しそうに息をしているクレア。
クレアの言った通りエルヴィンもアルミンもいつまでも息があるわけではない。
それにクレア自身だって危ない。
急がなければ…
「全員ここから離れろ!!ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる!!」
皆クレアの言葉が強く堪えたのか…涙を流しながら放心状態だ。
ミカサはハンジに抱えられ、ジャンはクレアを抱えて…
サシャはコニーにおぶられて、エレンはフロックに抱えられて…
その場を離れた。
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エレン達がこの場を去ると、さっきまでの騒ぎが嘘のように静かになった。
今リヴァイの耳が聞きとっているのは、エルヴィンとアルミンの虫の息のみ。
「どいつもこいつも…ガキみてぇに…わめき散らしやがって……」
ズルズルとベルトルトの身体を引きずってくると、リヴァイはため息をつきながらボソリと呟く。
エルヴィンの存在はまだ必要だ。
自分の選択は間違っていない。
だが…クレアが言っていたように、決してアルミンの命を軽んじているわけではない。
アルミンを助けられない事に、罪悪感のような感情だってもちろんあるのだ。
「おいエルヴィン…さっさと目をあけろよ。クレアの足が心配だからな…」
リヴァイは黒焦げになってしまったアルミンを見て、心の中で助けられなかった事に対して謝罪をすると、エルヴィンの腕を取って針を刺した。