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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第72章 “その時”がきたから…Side シェリル






獣の巨人の投石攻撃によってウォール・マリア側は全滅寸前。


シガンシナ区側も、さっきの爆発でどうなったかわからない。


どう考えたって調査兵団敗北が明白だ。


エルヴィンはリヴァイ兵長と何か話していたけど、フラフラと木箱に腰掛けると、ブツブツと喋りながらうなだれてしまった。


こんな姿、もしかしたら私初めて見たかもしれない。


きっとそれくらい状況は絶望的なのね。


すると、リヴァイ兵長がエルヴィンの前に跪いて、真剣な顔で「夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け、獣の巨人は俺が仕留める」と言った。


それを聞いたエルヴィンは、さっきまでのどこか魂の抜けた顔から、ホッとした様なやわらかい表情に変わっていった。


リヴァイ兵長に背中を押してもらいたかったのかしら。







でも…そういう事ね…


エルヴィンにもついに“その時”がきたのね。


もちろん、私なら大丈夫よ。


だってこんな事になるんじゃないかって、あらかた覚悟は決めてきたからね。







立ち上がったエルヴィンは、パニックを起こしてる新兵の前に立つと、堂々と“死ね”と命令した。


泣き出す子に嘔吐する子がいたけど、エルヴィンは一流の詐欺師みたいにあの手この手で鼓舞すると、新兵達は涙を流しながらもみるみるやる気を漲らせていった。




本当に最後までご立派だこと。

もう…笑っちゃうくらいにね。





新兵達がそれぞれの馬に乗る準備をし始めると、エルヴィンも私の所にやってきた。



新兵達を地獄に導く団長様は、いったいどんな顔して私の前に現れるのかしら。



この私にも体のいい方便を並べてアレコレ言ってくるのだろうか。



そんな事を考えていたら目の前まできたエルヴィンに名前を呼ばれた。



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