• テキストサイズ

ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第10章 奇行種に完敗




「……兵長?!」



戸惑いながらも出した言葉はこれが限界だった。




「クレア………」





「!?」


加速していた心臓がより一層高鳴る。



なに?!今のは……
聞き間違いではなければ、今兵長は私の名前を初めて呼んだ気がする。
兵長はいったいどうしてしまったのだ?





「大丈夫だ……。お前のことは、俺が見込んで調査兵団への入団を許可したんだ。お前は死なねぇ…自分と…俺を信じろ…」



「必ず生きて戻ってこい!」



リヴァイがクレアにしたのは幻滅でも叱責でもなかった。
ただまっすぐにクレアを信じているという激励の言葉のみ。

それはクレアが心の底から欲しかった言葉であった。




クレアはリヴァイの腕の中で、思う。


馬の訓練で身体を痛めた時も…


馬の調教で落ち込んだ時も…


新兵2人に襲われた時も…


いつだって辛いときにはリヴァイが側にいてくれた。
次第にドキドキするような、切なくなるような特別な感情が芽生えて、その正体がわからずイライラしたこともあったが、今ようやくわかったような気がする。


これは、恋なんだと……


私は、兵長が好き。それに今ようやく気づいた。



自身の気持ちに気づき、胸が熱くなると、自然と両腕がリヴァイの背中にまわった。
きつく抱きしめられる感触も心から気持ちよく感じる。


リヴァイの激励で涙の止まった瞳で再び見上げた星空は、何の不安もない、もとの美しい星空に戻っていた。





キンモクセイの香る夏の夜空に、2人は互いへの想いを自覚をするが、遠回りをしてきた想いは、まだ交わることはなかった。



明日はいよいよ壁外調査

前進あるのみ

/ 1981ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp