第69章 仲間
「クレア君?」
「あ、先生…!!」
楽しい笑い声につられて笑っていたら、医師から声をかけられクレアは振り向いた。
「ずいぶん楽しそうだね。」
「あ…あ、あの…騒がしくしてしまってすみません!!」
「いや、いいんだよ。君の楽しそうな笑顔に免じて、今日だけは特別サービスだ。」
「え?」
「みんな、クレア君の事が大好きなんだね。元気づけようと集まってくれたんだろ?」
「そ、それは…」
「愛されてるねぇ!!若いっていいねぇ!!」
そう言った医師は、ニコッと笑うとクレアの肩をポンポンとたたいた。
「調査兵団の医師として長く兵士達を見てきたが、調査兵はみんな絆が深くて強い。壁外調査のたびに顔を見る事ができなくなる兵士がいて…それはそれは胸が痛むが…」
「…………」
「でもその絆や想いは、他のどんなものよりも清くて、強くて、そして美しい…私は自信をもってそう言える。クレア君にもこんなに心強い仲間がいるんだ。今は辛いかもしれないけど…そんな時は仲間を信じて、頼って甘えなさい。わかったね?」
「先生……」
医師の言ってる事が深く胸に刺さる。
命短し調査兵。
まだ入団して3年目のクレアでさえ、多くの別れを経験してきたのだ。
痛い程に理解できる。
「先生、私は本当に素敵な仲間に恵まれてきました。本当に幸せ者です。なので元気をもらった分、彼らを守って…そして戦いたいです…」
「君ならできるよ。でも訓練の許可を私が出すまでおとなしくしていておくれよ?」
「はい…もちろんです。」