第69章 仲間
クレアが倒れて6日が経過。
3日ほどで出血は完全に止まり、発熱など感染症の症状もでなかったクレアは、少しずつ食事もとれるようになり、だいぶ回復してきた。
立ち上がる時のふらつきもなくなったため、予定通り10日がすぎる頃には訓練に復帰できるだろうと医師から言われていた。
「今日も暑くなりそうね…」
朝食を終えたクレアは、窓から見える太陽を眩しそうに見上げて呟く。
今日も皆、ウォール・マリア奪還に向けて汗だくになって訓練をするのだろう。
つい数日前までは自分もそうしていたため、ベッドの上でおとなしくしていなくてはならないこの状況は、少しだけ寂しいし、焦れったくもなる。
しかし、ここで無理をしてまた倒れてしまったら、今度は作戦に参加できなくなってしまう。
天に召された小さな命のためにも、今は我慢をしなくては…
そんな事を考えていたら医務室の扉の外がなんだか騒がしくなっている事に気付く。
「……!?」
その騒がしさの正体になんとなくの想像がついていたクレアは口元が少し緩んだ。
ーガチャー
「クレアさん、おはようございます。具合は…いかがですか?」
「おはようみんな。もうすっかりいいみたいよ。早く訓練に戻りたいな…」
入ってきたのはエレン達104期の新兵だ。
前例のない過酷なクーデターを生きて戦い抜いた彼らはもう“新兵”なんて呼び方が似合わないくらいに逞しく成長している。
ウォール・マリア奪還作戦では調査兵団に編入してきた兵士の数が大部分を占めるため、彼らはもう頼れる立派な調査兵だ。