第9章 駈けだす想い
──おまけストーリー──
今朝は早朝から騒がしかった。
リヴァイは朝食を済ませたあと、執務室に戻ってきたのはよいが、特に何もすることがなかった。
書類仕事も終わっているし、ティーセットやハンジの食い散らかしたゴミは全てクレアが掃除していってくれたのだ。
早目に厩舎に行くか……と考えながらドカッとソファに腰掛けると、ふいに自由の翼の紋章が目に入った。
これは今朝方、クレアが自分に返したジャケットだ。
確か、まだ洗濯はしていない…と言っていたな。
あの時は何も考えずにそのままでいいと言ったが、よくよく思い返せば、これは昨日クレアの素肌にかけてやっていたものだ。
「………………。」
リヴァイの中で何かがくすぶりだした。
……おい、俺はいったい何を考えている。
思考とは真逆に、リヴァイの身体は今着ているジャケットを脱ぎ出している。
クレアが着ていたジャケットを手に取ると襟のあたりを口元に寄せ匂いをかいだ。
ほんの、ほんのかすかだが、クレアの香りがする。
今現在この部屋には自分1人しかいないことは明らかなのだが、2.3度周りをみわたして誰もいないことを確認すると、リヴァイは昨日クレアが着ていたジャケットを羽織り、厩舎にむかった。
「これじゃただの変態じゃねぇかよ……」
珍しく自虐的なことを呟くが、言葉とは裏腹に満足げな顔をしていたことはいうまでもなかった。
──おまけストーリーfin──