第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
ー数日後ー
日が暮れ、夜の帳が降りる頃、リヴァイ班は草原に身を潜めながらとある館に侵入するため息を殺して近づいていた。
マルロとヒッチの情報からすると、どうやらここが中央憲兵の根城で間違いない様だ。
「こんなにすぐにたどり着けるととはな…」
「あの2人とジャン…お前のおかげだ。」
ここまで犠牲者をださないでたどり着けたのは幸運だ。あの時ジャンの捨て身の作戦で、マルロとヒッチが調査兵団側についてくれたのはやはり大きかった。
「おいお前ら…準備はいいか?行くぞ…今度はこっちから仕掛ける…」
「はい!!!」
戸惑いの表情が残ってはいるが、返事を聞くあたり、気持ちの整理はついているのだろう。
リヴァイはアルミンを見張りに残し、館へと潜入していった。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
「あ……脚がぁ……」
「ぐぁぁぁぁ…!!!」
リヴァイとミカサでまず突破口を開き、屋根の上からジャンとサシャが銃と弓で応戦を。
その隙に、クレアとコニーが中に飛び込み、奇襲をかけ、その場にいた全員の脚を止めてみせた。
各部屋を素早く確認したが、エレンとヒストリアの姿は見つからない。
そのため、後から入ってきたリヴァイが上官らしき人間を見つけると、瞬時に拘束し、館から撤退した。
ーガサガサッ!!ー
「兵長!!みんなは無事ですか?!」
「アルミン!全員無事だ。だがやはり2人はいなかった。移動するぞ!」
ードンッ!!ー
館から少し離れたところで荷馬車を止めると、リヴァイは荷台から男を引きずり下ろして早速尋問を始めた。
「いいヒゲだなあんた…エレンとクリスタはどこだ?」
「ハァ…ハァ…お前らいったい何人部下を殺したんだ?」
「…残念だがあんたの部下は助けに来ない。あんまり殺すのも困りものだからな、しばらくまともに歩けない様にはしておいた。」