第62章 レイス家の真実
「エルヴィン団長!!」
「どうした?」
「中央第一憲兵が団長に出頭を命じています!!組織殺人の容疑だと騒いでおります…それも、街のど真ん中で…」
「殺……人…?中央第一憲兵??いきなりなんだよ…?」
なんの証拠があってエルヴィンに殺人容疑がかかったのだ。
「ハンジ、モブリット、ここから離れろ。」
「はぁ?!ちょっ、エルヴィン行く気か?いくらなんでもおかしいって!!何かの罠だ!どうするつもりなの?リヴァイ班は?!」
明らかにおかしい出頭命令にハンジは止めたが、エルヴィンは自由の翼の紋章のついたジャケットを掴むとヒラリと羽織る。
出頭命令に応じる様だ。
「リヴァイ班はリヴァイが判断する。お前もだハンジ。自分の判断に従って動け。俺は調査兵団の表の顔を通す。敵が仕掛けてくれば予定通りとは行かないさ。臨機応変に対応しろ。」
「エルヴィン……?」
「それに何より…次の調査兵団団長はハンジ・ゾエ、お前だ。調査兵団を任せたぞ…」
「な、何言ってんの?ちょっと待ってよ…!!」
ーバタンー
ハンジの呼びかけも虚しく、扉は静かに閉まった。
「分隊長…どうしますか?」
「エルヴィンのやつ……」
何が次の調査兵団の団長はハンジ・ゾエだ…
意志を引き継ぐ者の選定は大事な事だが、それは今ではないだろう。
「……………」
「分隊長…?」
お願いだから何処か遠くへいなくなってしまう様な発言はやめてくれ。
「モブリット…エルヴィンは表の顔を通すと言ったけど、中央第一憲兵がエルヴィンにどういう対応をするのか見ておきたい。私達は民衆に見つからないように現場へ行くよ!」
「はい!!」
ハンジはレイス卿領地潜入班の報告書を握りしめたままこの部屋を後にした。