第61章 104期との距離
ハンジ達が朝食を食べ終えると、皆リビングまでおりてきた。
まだ休んでいていいと言ったのだが、エレンも作戦会議に出ると言ってきかず、皆と一緒に下までおりてきた。
「それじゃあ早速作戦会議といきたいけど、あまりチマチマと情報収集する様な時間はない。何か手っ取り早く謎の中心まで飛び込める様な案って…誰かない?」
ウォール教でも、レイス家についてでもどこからでもいい。何か効率よくアクションできないかと頭を捻らせているとリヴァイが口を開いた。
「まぁ…手っ取り早く黒幕の所まで行きたいならやり方はシンプルだ。1つしかねぇだろ?」
「え…?」
「敵側はこっちの動きを追ってる様だし、ここがバレるのも時間の問題だ。それなら逆手をとってエレンとヒストリアを誘拐させるんだ。そして攫った奴らの後を追って、アジトなり親玉なりを突き止めればいい。」
「エレンとヒストリアは我々の運命を、いや、壁の中の全人類の運命を大きく左右する重要な人物だ。そ、そんな危険な事をいきなりやれっていうのか?」
それは無茶にも程があるとハンジは言い返したが、リヴァイは冷静に続ける。
「自分の言った事をよく思い出せよクソメガネ。この100年以上もの間隠されて続けてきた真実に手っ取り早く辿り着きたいんだろ?迅速且的確にやるには、エサもそれなりにしないと効果がねぇ。だからと言ってなんの保険も無しに実行する程俺は馬鹿じゃねぇよ…」
「ど、どういう事??」
「誘拐させるのはエレンとヒストリアの替え玉だ。2人は別の場所で身を隠して待機だ。そして、何かしら秘密を知ってる人物まで辿り着いたら何が何でも吐かせる。他に何か案があるなら出してくれ…」
危険は大いに伴うが、リヴァイの案を上回る作戦は出てこなかった。
大きな結果を欲するならリスクも大きくなるのは当たり前のことだ。
なんの犠牲も払わず実行するなど不可能なのだ。