第58章 奇行種の魅力
「あぁ……へ、へいちょう…!!」
身体の底からムズムズと焦れる感覚が頂点に達すると、クレアはたまらずにリヴァイの両肩を押してしまった。
「はぁ…はぁ……はぁ……」
「どうした…言いたくなったのか…?」
クレアは頬を上気させながらリヴァイを見つめるが、リヴァイは眉一つ動かさず冷静に問いかけてくる。
「へ、へいちょうが…私に言葉にして欲しい事とは……あの、その……今私がして欲しいと思ってる事……ですか…?」
「はぁ…やっと分かったか無自覚鈍感奇行種が。そうだ、正解だ。」
やっぱり……
上気した頬がさらにカァッと熱くなる。
「だが、それだけじゃねぇ…」
「……え?」
「お前は確かに自分の気持ちを言うように頑張っていたな。それは知っている。でもそれだけじゃない、もっと底無しに俺を欲しがるクレアが見てみたい、そんなお前の言葉が聞きたい。さっきお前が自分を“欲張り”だと言った時にそう思った。」
「へい…ちょう……」
「もっと我儘に、もっと欲張りに、みっともなく欲しがってる姿を見せろよ。酒に酔ったり媚薬に当てられたお前じゃない。シラフのお前が腹の底から俺を欲しがってる所が見たい…いつも俺ばっかりがガッツいてるみたいで不公平だろ…」
そう言ったリヴァイの目には段々と情欲の炎が宿りだす。
「ま、待って…下さい…そんな、みっともなくなんて…」
「それと…!!」
それは無理な話だと言いたかったクレアだったが、最後まで言い終わる前に顎を掴まれてしまった。
「それと、そのよそよそしい敬語はどうにかなんなぇのかよ。ベッドの中に入った時くらい忘れろ。」
「えぇ…?」
クレアの敬語の使い方はとても品があり美しい。それ故に育った環境の教養深さが伺えてしまう程だ。
だが、ベッドを共にする時くらいはそんな堅苦しい敬語などかなぐり捨てて本能のままに自分を求めて欲しいとリヴァイは思っていた。
しかし、次から次に出てくる無理難題な要望にクレアの頭はパニック状態だ。
「ホラ…黙ってないでなんとか言えよ…」
右に左に視線を泳がせながら戸惑うクレアに、リヴァイは顎を掴んだままグッと顔を寄せた。