第58章 奇行種の魅力
時刻は午後3時頃……
間もなくクレアは兵舎に到着しようとしていた。
マリアとの用事が済んだクレアはすぐに兵舎へと向かったが、昼をまたいでしまったので、短時間だが昼食を取るため食堂に寄っていた。
軽食をとってる間もリヴァイの「早く帰ってこい」という言葉が気になっていたクレアはかきこむように口に入れると、モグモグと口を動かしたまま代金を支払いデイジーに乗った。
「はぁ…はぁ……もうすぐだわ……」
昼食をとってからは休憩をとらずにデイジーと走ってきたため、少し息を上げながら兵舎のある方角を見ると少しずつ兵門が見えてきた。
「やっと着いた……あ、あれ?!」
だが、よくよく見ると兵門の先にある兵舎の玄関に人影がこっちを見ているように感じたクレア。
いったい誰だろうか。
デイジーの腹を蹴って加速すると、玄関の前に立っていたのは腕を組みながら不機嫌そうな表情をしているリヴァイだった。
「兵長……!?」
リヴァイもクレアに気づくと視線を合わせて大きなため息をつく。
「やっと帰ってきたか……」
「へ、兵長……」
まさかとは思うが……
「私の事…待っていたのですか…?」
「なんだよ、悪いかよ…」
すると、少しバツが悪そうに視線だけ横にそらすとボソリと呟く。
「い、いえ……そんな事は……」
デイジーからおりてリヴァイを見ると、リヴァイは私服だった。
自分を待っていたような返答だったため、仕事の手伝いを命じられるのかと思ったのだが、違うのだろうか。
「あの、兵長?お仕事の…手伝い…ではないのでしょうか?」
「お前は今日休暇申請を出したんだろ?仕事をやらせるわけないだろ…」
「で、では……」
「でかける。デイジーを戻してこい。」
「は、はい……」
リヴァイの目的がいまひとつピンとこなかったクレアだが、言われた通りにデイジーを戻しに厩舎へと向かった。