第57章 託す想い
キリッと勇ましく敬礼をする姿はフレイアとよく似ていた。
黒くて艶のある髪。
スラリと伸びた長い手脚。
そして、元気を貰える明るい笑顔にポジティブなメンタル。
やはり2人は姉妹なのだなと改めてクレアはそう思った。
「立派よマリア。本当に…フレイアとよく似ているわ。励まさなくちゃいけないこっちまで元気を貰っちゃう所…本当にそっくり…」
気づけばクレアが泣いてしまっていた。
大好きだったかけがえのない親友フレイア。
死んでしまったけど、でも、確実に彼女の強い意志や優しさはマリアの中にも存在している。
当たり前だがフレイアとマリアには同じ血が流れているのだ。
フレイアの面影を感じたクレアの涙は止まることなくボロボロと滝のように流れた。
「えっ…えぇ?クレアお姉ちゃん?どうしたの??」
「うっ……ごめん…!なんだか逞しく成長したマリアを見たら、フレイアを思い出しちゃって……本当に2人似てるから…涙出てきちゃった……」
10も歳の離れた自分が情けないと、クレアはゴシゴシと袖で涙を拭い全力で涙を止めてみせた。
「ありがとう…クレアお姉ちゃん。ねぇ、また私に会いに来てくれる?」
「うん、マリアの元気な姿で私も元気貰えるし、また会いにくるね。」
「嬉しい。私は、絶対に死なない…!!だから、また会いに来てね……」
2人はギュッと抱きしめ合い約束をすると、クレアは兵舎に戻るため孤児院を後にした。