第57章 託す想い
ー2日後ー
クレアは朝起きるとすぐにエルヴィンの元へと向かう。
付き添いの兵士から夜の様子を聞くと、特にうなされていたりはしていなかったと報告された。
検温をして、切断されてしまった腕の消毒をし包帯を変える。
熱はすっかり下がり、傷口も化膿せず順調に回復している。そろそろ目覚めても良さそうな頃だが、エルヴィンの瞼はしっかりと閉じていてまだまだ目覚める気配はなさそうだ。
食事を摂っていないせいか、少しやつれて見える顔。
みだれてしまった髪に、伸び放題になってしまった髭。
いつも、優しく爽やかで逞しかったエルヴィンを思うと、その姿は痛々しく、クレアの胸をギュッと締めつけてしまう。
「では、何か変化がありましたら医務室の先生に声をかけて下さい。」
最後に点滴の液を新しい物に変えると、クレアは医師に容態を伝えてからリヴァイの部屋に向かった。
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「クレア、エルヴィンの容態はどうだった?」
「団長ですか?昨晩は穏やかに眠っていたそうです。発熱もなく傷口の化膿もみられないので、そろそろ目覚めてもよい頃だと思うのですが…」
「そうか……分かった。」
エルヴィンの分の仕事も代理でやっているリヴァイ。
様子を見に行きたくても、中々時間が取れないのだろう。クレアの報告を聞くと、少し険しい表情で頷いた。
「クレア、今日お前の方はいったいどういう予定なんだ?」
エルヴィンの様子を聞き終えると、今度はクレアの予定を聞いてきた。
昨日はコニーの村まで行き、報告書に上げられていた箇所の調査を1日中していたハンジ班。
帰舎後は遅くまで調査の考察をしていたため、今日は久しぶりに訓練をするとハンジは言っていた。
「今日は、モブリットさんの指揮で訓練をすると仰ってました…実はラガコ村で色々とありまして。ハンジさんはその報告をしに兵長の所に来ると思います。」
だが、クレアはできる事なら行きたい所があった。