第54章 裏切り者の戦士

「クソッ！なんでこんなに早く動ける！！」



「俺らじゃ何もできねぇのか！？」



「…っ！！早すぎる！！」



エレンのサポートになればと周りを飛ぶが、なかなか隙を突く事ができない。

ライナーは立体機動装置の構造をよく知っているだけあって余計に隙ができないのだろう。



「…イイヤ…、本当に全身が石像の様に硬いのならあんな風に動けないはずだ……」



「ハンジさん…！？」



「昔の兵士が使っていた全身の鎧にも…人体の構造上鉄で覆えない部分がある。脇や股の部分と……あとは…………そう！！膝の裏だ！！！」



「膝の裏…ですか？！」



「あぁ…膝の裏だ…なんとか刃を入れることができれば鎧の動きを止められるかもしれない。」



そう、どんなに硬い鋼鉄でその身を覆っていたとしても弱点とは必ずあるものだ。

それを先に見つけ、攻撃を与えた方が優勢。




「おぉぉぉぉ！！！」



「やれエレン！！」




2人は倒れ込み、激しく組み合うが、片腕を引きちぎった分、エレンが優勢か。


ミカサもクレアもライナーに攻撃できる隙を逃すまいと、臨戦態勢をとりながら見守った。



すると、エレンに掴みかかった鎧の巨人をそのままうつ伏せに抑え込むと、ミカサはその“弱点”を見逃さなかった。





ービュンッ！！！ー





「ミカサッ！！」


一瞬の隙を突き鎧の巨人の膝裏に深い切れこみを入れると、膝に力が入らなくなったのか、抵抗する力が弱くなった。


「切った！！！」


ハンジは刃の通った膝裏を確認すると歓喜の声を上げる。



「いける！」


「エレン、やっちまえ！！」


「そのまま首ごと引っこ抜いてやれ！！」


「裏切り者を引きずり出せ！！！」





みなエレンに声援を送る。

見えてきた。

鎧の巨人に屈せず対抗することができる。

勝てる！！




絶望しかなかった皆の胸に、そんな感情が芽生えた。