第53章 謎と疑惑と真実
ー2日後ー
作戦はまずアルミンが単独でアニに接触、説得し護送される馬車からエレンとジャンを入れ替え、ミカサと共に地下道へ誘導するというものだ。
そこで、ハンジ班は目標であるアニを誘導する地下道の入り口から少し離れた家屋の屋根で見張りをしていた。
もし逃げられた時の足止め役だ。
「アルミン達……うまくいったのでしょうか…」
「あぁ…こうも静かだと…逆に怖いな…」
時間からしても、そろそろ目標の地下道入り口に着いていてもいい頃だ。
そのためクレアもモブリットもドキドキと冷や汗をかいている。
「できたら、私達の出番はない方がいいのですが…」
万が一、そうアニが“白”であった場合は勿論だが、地下への誘導に失敗をし巨人化されたらたまったものではない。
ここは内地。
沢山の人間が今日も平和だと信じてやまず過ごしているのだ。
そんな事になったら関係のない人間が沢山死ぬだろう。
「そうだね……リヴァイも脚負傷しちゃってるし、できたらこちらの思惑に気づかないままおとなしく地下道へ入って欲しいんだけどね…」
ハンジも少し緊張しているのか、地下道のある方面を、親指の爪をかじりながらジッと見つめいる。
するとその時だった。
ーパァンッ!!!ー
アルミンが持っていた銃が発砲される音が鳴り響いた。
この合図は、地下道入り口に待機していた調査兵で捕獲をせよという意味だ。
「誘導は失敗か!クレア!モブリット!戦闘になるかもしれない!準備して!!」
地下道の入り口で捕獲の合図がでたという事は、何らかの理由で誘導ができず、地上で強行突破をせざるを得なくなったという事態。
このまま手、足、口の自由を奪い拘束できれば問題ないが、アルミンの話によるとアニは小柄な身体付きにも関わらず対人格闘の腕はピカイチだったそうだ。
そうなると、何人の兵士で飛びかかかろうが逃げられてしまう可能性もゼロではない。
3人の間に緊張が走った。