第52章 雨
「では今日はこれで解散。明日、また細かい事を詰めていこう。私はこれからリヴァイの所へ行って状況を説明してくる。帰るのは明日になるからそのつもりでいてくれ…」
すると、アルミンとミカサが立ち上がった。
「エルヴィン団長!僕も…エレンの所へ一緒に行っては駄目ですか?」
「あ、あの…私も同行させて下さい!!」
「ん?!」
この雨の中、思いもよらなかった申し出に、エルヴィンは少し驚いてしまう。
「きっと…エレンは…アニが女型の正体である事を直ぐには信じられない筈です。」
「なので…私達も同行させて下さい。」
エレンは良くも悪くも真っ直ぐな奴だ。
例え憲兵に行ってしまったアニとはいえ、3年間一緒に辛い訓練を共にしてきた仲間なのだ。
エレンの性格上、大きく動揺する筈だ。
そう思い、アルミンとミカサは同行を申し出た様だ。
「……………」
この2人はエレンの幼馴染。
この2人が言うのならそうなのだろう。
憲兵に引き渡す事はもう決定してしまっている。
そのため、エレンにゴネられるわけにはいかない。
エルヴィンはアルミンとミカサの同行を許可する事にした。
「わかった。だがアルミン、馬に乗っても大丈夫なのか?」
「そ、それは…」
「私がアルミンを乗せて行きます。なので、大丈夫です。」
「ミカサ……ごめん……」
まだ体調に不安があったが、それを察したミカサが2人乗りで連れて行くことを提案した。
「…よし、では急ごう。」
作戦があらかた決まると、幹部達は席を立ち、エルヴィンの部屋から出て自室に戻って行った。
「あの…アルミン、ミカサ?!外は暗いし、雨も降ってるから…気をつけてね…」
「クレアさん……大丈夫です。私がちゃんとアルミンも乗せて連れて行きますので。」
ミカサがクレアに向かって敬礼をすると、ハンジがやってきてクレアの肩を掴んだ。
「クレアごめん!壁外調査の後で悪いんだけど、色々手伝って欲しい事が出てきちゃった。お願いできる?」
「は、はい!勿論です!!」
クレアはミカサとアルミンに手を振ると、ハンジの後を追いエルヴィンの執務室を後にした。