第51章 第57回壁外調査
カラネス区に到着すると、鐘が鳴る。
帰還と開門の合図だ。
予定より早い帰還に街中の人間が野次馬となり集まってくる。
「調査兵団が帰ってきたぞ!」
「今朝より数がかなり少なくなってないか?」
「早朝から叫びまわって出て行ったと思ったら昼メシ時にはもう帰ってきやがった。」
「何しに行ったんだ…」
「さぁな…」
「俺らの税をドブに捨てに行く事には成功したらしいぜ。」
野次馬の野次はそこかしこから飛んでくる。
みな調査兵団を避難する言葉ばかりだ。
「エルヴィン団長!答えてください!!」
「今回の遠征でこの犠牲に見合う収穫があったのですか?!死んだ兵士に悔いはないとお考えですか?」
戻ってきた人数とその表情で今回の遠征の結果など語られなくても予想できたのだろう。
エルヴィンにも非難の声が次から次に飛んでくる。
今回の壁外遠征に掛かった費用と損害による痛手は調査兵団の支持母体を失墜させるに十分だった。
エルヴィンを含む責任者が王都に招集されると同時にエレンの引き渡しが決まった。