第8章 迷える想い
「わー!これどうしたんですか?全部団長が買ってきたんですか?」
「王都に行くことが多いからね。行ったついでに買ってきてたらこうなってしまった。紅茶はクレアの分も淹れなさい。少し食べて行ってくれ。」
「あ、ありがとうございます!」
お菓子を食べながらあれこれ作業をしていたらだいぶいい時間になってしまった。
「クレア。手伝いはここまででいいから、訓練の準備に行ってくれ。とても助かったよ。」
「は、はい!お菓子、ご馳走さまでした。とてもおいしかったです!」
借りたカップを片付けようと手に取ると、エルヴィンのカップも空になっていた。
「ついでなので、片付けてから失礼しますね。」
クレアの身体が一瞬エルヴィンに近づいた。
エルヴィンはあることに気がついた。
「クレア、昨日の夜はリヴァイのベッドにいたのかな?」
「…………!」
いきなりの質問で、洗っていた綺麗なカップを落としてしまいそうになった。
「ハハハ、そんなに警戒しないでくれ。今朝リヴァイに会った時にいつもと違う感じがしたんだが、私にもよくわからなくてね。でも今はっきりわかったよ。君の使ってる香油と同じ香りがしたんだ。」
移り香か…でも兵長とはただ同じベットで眠っただけだ。自分がほのかに感じる程度にしか香油はつけていないし、なにも……香りが移るほどのなにか特別なことなどしていない…
クレアは眠っていたため、リヴァイから抱きしめられていたことには気づくわけがなかった。
「団長……信じてもらえるかはわかりませんが……」
クレアは昨夜の事を団長に話した。
ハンジと精製途中で眠ってしまったこと
リヴァイが運んでくれたが、部屋がわからず自室までつれていかれたこと
そのまま朝まで眠ってしまったこと
「そうだったのか。私はてっきり君とリヴァイは恋人同士になっていたのかと思ってしまったよ。」
「そ、そ、そ、そんなこと無いです!!リヴァイ兵長には大変なご迷惑をかけてしまって…今後は気をつけます……」
「クレア、毎朝リヴァイの執務室、掃除しにいってるんだろ?」
「…………!」