第8章 迷える想い
朝食時、クレアはフレイアから苦しい尋問をされていた。
「ねぇ!だから昨日どうして戻ってこなかったの?しばらくは10時頃で上がらせてもらえるんじゃなかったの?」
「あー、えーと、それはね…」
「まさかクレア…男子棟にいたとか?」
男子棟ではなく、幹部の部屋にいた…など口が裂けても言えるわけがない。そもそも昨夜の同衾事件は不可抗力だったのだ。
「ち、ちがーう!ちがうよ!昨日はハンジさんと一緒に執務室で居眠りしちゃって…気づいたら朝だったの…」
苦しいが、半分は嘘ではない。
「なーんだ、そうだったんだ。実は昨日はちょっと聞いてもらいたい話があって戻ってくるの待ってたんだぁ。」
「えぇ?!そうだったの?ごめんフレイア!今夜はちゃんといつもの時間に戻ってくるから、話聞かせて!」
必死に謝るとむくれてたフレイアがパッと笑顔にもどった。
「よかった!待ってるからね。」
ホッと胸をなでおろすと食堂の入り口からなにやら聞き慣れた声が聞こえてきた。
「分隊長………ですからーー……何度も言ってますが……」
「だーかーらー、ごめんってば、モブリットー。」
モブリットからお説教をされているハンジである。
おおかた昨日のことであろう。
「あ!クレアー。と、隣の彼女はフレイアだったかな?おはよう。」
「「おはようございます!」」
「もうー、この通り、朝からモブリットのお説教コースだよー…」
ヘナヘナとクレアにくだを巻き始めた。
「壁外調査も近いですし、無理しちゃダメですよ。まぁ…でも無茶しちゃうハンジさんも大好きなんですけどね。」
「はぁ…クレア。あまり分隊長を甘やかさないでくれ。」
「アハハ…す、すみません。」
ハンジはクレアに抱きついたまま不貞腐れてしまう。
「ほら、ハンジさんも早く朝ごはん食べちゃいましょう。」
優しくうながすと、ハンジは何かを思い出したようにニヤリとクレアに耳打ちをした。
「(そうそう、クレア、昨日はリヴァイの部屋で寝ちゃったんでしょ?変な事されなかったー?)」
「……!!!」
なんでハンジさんが知ってるの?兵長が話したのであろうか?弁解したいが、ここではフレイアに聞かれてしまう……それはまずい…