第49章 104期入団
「……………」
あらかた吐き出し、性の欲望から少し冷静さを取り戻すと、今度は盛大な虚無感や罪悪感が自身に襲いかかる。
エレンは、リヴァイとクレアが恋仲だと知ったにも関わらず、それを妄想しながら抜いてしまったのだ。頭の中の妄想だけとはいえ、あのリヴァイの恋人だ。これから世話になる上官なのにやってしまったと後悔するが、でもこうでもしなければ、とんでもない結果になっていたかもしれない。
仕方なくエレンは紙で手を拭くと、自身の吐き出した精液もろとも流してから個室をでた。
ーガチャー
「……あっ!!」
「あぁ…?!」
手を洗い、トイレの扉をあけると入れ違うようにオルオに会ってしまった。
全て済ませる事は済ませてきたが、少しタイミングが悪い。エレンはオルオの顔を見ると、言葉を詰まらせてしまった。
「おい新兵!何やってるんだよ。エルドからリヴァイ兵長を呼んで来いと言われていただろ?」
オルオはヤケにエレンにつっかかってくる。
自分の入団を快く思ってないのだろうか。
いつもならペトラが助けに入ってくれるが、今はいない。自分でなんとかしなければ……
「あ、す、す、すみません…探してたんですけど、なんだか急に腹が痛くなってしまって……すぐに探します!!!」
………今の言い訳は無理があっただろうか…
エレンは顔を引きつらせながらなんとか“申し訳ない”様な表情を作りオルオを見つめると、実にわざとらしいため息をつかれた。
「ったく……訳に立たねぇな。緊張で腹痛でも起こしたか?そんなんで壁外調査大丈夫なのか?はぁ…、ほら、便所が済んだならとっととリヴァイ兵長探しに行け!」
小言を言われたが、なんとかエレンの言い訳は信じてもらえた様だ。
胸を張って敬礼をすると、再び走って外まで出た。
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一方エレンが覗いていた事など、まったく気づいてなかったリヴァイとクレアは、まだまだこのまま甘い快楽と共に繋がっていたい気持ちと、早く終わらせなければという焦りで葛藤していた。