第49章 104期入団
「クレア!おはよう!ここいい?」
「あっ、ペトラさん!おはようございます!!」
声をかけてきたのはペトラだった。
「あの…ラヴィーネは大丈夫だったんですか?少し前にエレンが兵長の所に来てそう言っていたので、心配してました。」
「ラヴィーネね…今兵長が運動させて様子見てるよ。本当に困ったもんだよね。だいたい疝痛起こすのって壁外調査の前とか大事な時でさ。きっと究極のかまってちゃんなんだよ。」
「確かに…そうかもしれないですね…」
以前疝痛を起こした時も壁外調査の当日の朝だった。
そんな事をボンヤリと考えていたらペトラが朝食のトレーを持って立ち上がった。
「ごめんクレア。私まだ荷物の積込みとかあるから先に行くね!!」
「は、はい!!ペトラさん、どうかお気をつけて!!」
急いで朝食を済ませたペトラは、小さく手を振ると早々に背中を向けるが、クレアが声をかけるとクルッと振り返り戻ってくる。
「それは、兵長に言ってあげなさい。」
「へっ…?!」
耳元でコソッと囁くと、ペトラはクレアにウインクを飛ばし去って行った。
「……ペトラさん……」
よくよく考えると、自分はリヴァイに送り出す様な言葉をかけていなかった。
素直な気持ちを伝える前に、リヴァイと唇が重なる前に、まさかのエレンか執務室にやってきたため、なんとなく気不味くなってしまい、ろくな挨拶もせず飛び出してきてしまったのだ。
まったくペトラの言う通りだ。
今ならまだ間に合うだろうか。
「………」
クレアは残りのスープとおかずを手早く口にかきこむと食器を片付け食堂を後にした。
リヴァイは疝痛を起こしたラヴィーネを運動をさせてると言っていた。
少し時間もたってるため、クレアはまず厩舎の方に行ってみる事にした。
「あっ…!!」
すると、遠目から調馬索(ちょうばさく)を持って馬具倉庫に入って行くリヴァイが見えたため、クレアは急いで走り出した。