第49章 104期入団
エレンが調査兵団へやってきて2日後。
訓練兵団からエレンが乗っていた馬、フェリオが届けられると、リヴァイ班とエレンはトロスト区の内側、ローゼ内の壁と川から離れた場所にある、“旧調査兵団本部”で当面の間暮らす事が決まった。
古城を改装した施設で、人里からも少し離れている。
そして何よりもエレンを囲っておくには最適な物件と言う事もあり、エレンの移動先はすぐに決定した様だった。
急な決定のため、クレアがその話を聞いたのは、出発当日の朝、リヴァイの執務室でだった。
「では兵長…しばらくここには戻ってこないのですか…?」
「………」
少し驚きながらも、少し寂しそうな表情をするクレア。
お互いの立場をわきまえてか、決して甘える事を言わない。2人きりの時くらい、気持ちを隠さずに言えと今まで散々言ってきたがなかなか直らない。
そこが、クレアの良い所でもあり悪い所でもあるのだが。
「あぁ、基本泊まり込みだが…だからと言ってずっと戻って来ない訳ではない。1ヶ月後には壁外調査も予定しているし、合同訓練の時はこっちに戻る。…それに、お前だってどうせハンジやモブリットと一緒にエレンの実験やら何やらで押しかけてくるんだろ?」
「そ、それは……」
今まで築き上げてきたウォール・マリアまでの奪還ルートは、トロスト区の門が破壊されてしまったがためにもう使うことはできない。
そのため調査兵団はカラネス区より、また1から補給ルートを模索しなければならなくなったのだ。
今回入団する104期の初陣は、例年より早いものになるだろう。
当然通常訓練はこのトロスト区の兵舎の訓練場で行われるため、合同訓練などの時は戻ってくるそうだ。
ずっと何週間も会えない訳ではないのだが、トロスト区の襲撃事件がまだ沈静化していない。
やっとトロスト区の兵舎まで戻ってこれたが、リヴァイとクレアに安息の時間はなさそうだ。