第3章 衝撃的な出会い
今回の特例措置で編入した訓練兵は20名。
皆トロスト区襲撃の被害者だ。あの絶望の中から生き残っただけあって表情がほかの102期生とはまったくちがった。
死んだ家族の仇をと、調査兵団を希望するもの、巨人襲来を恐れて内地への憲兵団を目指すもの、志はそれぞれだった。
編入後、最初は実際に見た巨人の情報を聞いてやろうとしてくるやつもいたが、彼らの表情や雰囲気を察してか、誰もあの襲撃事件に関して聞き出そうとする者はあまりいなかった。
編入組は1ヶ月の遅れを挽回しようとがむしゃらに訓練に打ち込み、夏を迎える前にはすっかり102期生と同じメニューをこなせる程に成長した。
その頃になると、はじめこそ編入組との間に壁のようなものがあったが、そんな物はなくなっていた。
朝から晩まで共同生活。
厳しい訓練。
訓練が終わりひとたびオフタイムになれば、男子は思春期特有のエロ話、女子は甘い食べ物や流行りのファッションなどの話題で盛り上がり、あっという間に消灯時間だ。
編入組の表情も少しずつ柔らかいものに変わり、確実に絆ができつつあった。
ただ1人の例外を除いては………