第2章 奉公
真っ白い布の衣装が私の目の前に集められた。
柔らかくてなめらかで。シルク?か分からないけど、こんなの初めて。
叔母の手を借りながら、私はそれらを身にまとった。
脚も、胴も、腕も。
「お前、だいぶ綺麗だよ。ペシェ」
叔父が言った。
私はその言葉には応えずに、窓の向こうを見ていた。
鈍色の雲が低い。夜明けだというのにずいぶん暗かった。
いかにも清楚ですよという感じの白いドレスに身を包んで、私は村役場の外へ足を踏み出した。
お偉い役職の人(名前は忘れた)が私を待っていた。
大きな馬車もあった。金の細工が美しい馬車。
右足から乗るのがマナーだよ、と叔父は私に声をかけた。けど、知ったこっちゃないと思って、私は左足から乗り込んだ。
叔父は苦虫を噛み潰した顔で私を見た。
両親が死んでからはこの人に面倒を見てもらっていたけれど、結局最後まで馴染めなかった。
叔父も、「ふてぶてしいこの女がいなくなってせいせいした」とか、そんな風に思っているんだろう。
バイバイ、二度と会いたくないよ。