第3章 友との再会
服は赤黒色に変色しておりボロボロで、左手があらぬ方向に折れ曲がっている、足もまるで骸骨のように細く裸足で、ポタポタと赤い液体を垂らしながら此方に歩いてくるそれの顔半分は塩酸を被ったように
焼き爛れていた。
「何だよ、あれ…」
あんなの、この世の生き物じゃない。
そもそもゲームの世界でしかあり得ないゾンビそのものに、は一瞬息を飲み戸惑いと恐怖に体が硬直したが、それは一瞬だった。
そのゾンビが今にも三人に噛み付く勢いで迫って来たのが見えると、足は自然と動いていた。
「消えろー!!」
「!?」
「ぐぁっ!」
は走った勢いのままゾンビに飛び蹴りを決めると、ゾンビは後方に吹っ飛び皆唖然とを見る
「逃げるよ!倒せたか分からないけど、情報が少なすぎて今は戦いたくないんだ、立てる?」
「へ、あ…はい」
「行きましょう」
「ああ、つーかお前…」
倒れた黄色の彼に手を差し伸べると、驚きつつも手を取り立ち上がる。
そばにいた金髪の彼にも同じく逃げる事を示すと、その横にいた赤い彼は目を見開き此方へ近づいて来た。
「何で、こんなところにいんだよ…」
「タイガ…私もわからないよ、でも今はゆっくりとしていられないでしょ?」
「…だな、逃げんぞ」
明らかな知り合いと分かると火神のやり取りに、そこにいた五人は驚きながらも、走り出す。
向かうは唯一の安全だと発見した場所、体育館。
何故かそこだけは明かりがついていて、化け物は近づけないのだと走りながら火神が教えてくれた。
ガラッ
体育館の扉を開くと眩しいくらいのその光に、目が眩む。
ずっと薄暗い場所にいただけに、この明かりは目に悪い。
しかし入るやいなや、その場に沢山の気配を感じた。
「お帰り。どうやら新しい人間がいたようだね。」
「はい、今回は彼女だけでした」
「…取り敢えず、此方へ」
「うん。」
赤い髪が印象的な彼の纏う雰囲気に、思わず目が離せなくなる。
一目で分かる、只者ではない…オーラ、雰囲気
でも、こんな得体の知れない場所では彼の存在は頼もしいのだろう。
しかし同時に不安にも感じる
私はこれから、いったいどうすればいいのだろうか…