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[黒子のバスケ] ロックオン

第7章 お前だけは許さない




「かすみ草…か、うまい表現かもな。この子にどんな過去があったのかは分からないが、この泣き腫らした顔を見ていると、守ってやりたくなるよな。」

「宮地には負けないぞ。」

「バーカ、んな恋愛的なもんじゃねーよ、だいたいお前もさっき見たろ?が氷室に抱かれて泣いてる姿を。俺たちの前では何言われようと顔色一つ変えずに気丈に振る舞っていたが、ずっと我慢していただけなんだよ。」

「…分かっている、氷室には素直に気持ちを出せるのは、それだけ二人が親密な関係にあったんだって。でも、だからと言ってそれが諦める理由にはならない。」

「森山センパイ、どうしてそこまでこの人を…」

「勿論、最初は見た目の美しさに惹かれたさ、でも…ずっと見ているうちに見えてきたんだ、彼女の声が。怖い…辛い…助けてって、ずっと叫んでた、それを口に出してはいけないって無理矢理蓋をして、耐えているちゃんを見ていたら、堪らない思いが溢れてきたんだ。」



森山は、そっとに手を伸ばし触れるか触れないかの寸前で手を止めると、触れる事なく手を引いた。



「最初に彼女が俺たちに言った言葉を覚えているか?」

「…?」

「男が苦手だから、関わりたくはない。そう言った時の彼女の目は明らかに怯えていた。」

「でも、実際この人強いっすよ?ゾンビに飛び蹴りして俺の事助けたりして」

「黄瀬、女の子が平気でそんな事出来たと本気で思っていたの?だとしたら、お前…人を見る目がないよ。」

「ッ…」

「おい森山」

「悪い、言葉が過ぎた。でも、黄瀬も本当は気付いていたんだろ?彼女がどんな人なのか」



森山の目は、攻めているでも貶しているでもなく、ただ純粋に本音を聞きたい、そう言っているのが伝わってきた。



こんな場所で、突然飛び蹴りをした女の子に、最初は圧倒されるばかりで疑うとか疑問なんて持てる余裕もないくらい、焦っていた。
でも、赤司っち達とも臆する事なく渡り合い真っ直ぐ前だけを見つめる彼女を「怖い」と思った。
同じ歳だと言っていて、女の子で華奢な身体なのに、全く甘えようとする素振りもなく、隙を見せないこんな子が同じ人間だとは思えなくて、自然と距離を置いて見てしまった。
でも、本当は気付いていたんだ…

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