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[黒子のバスケ] ロックオン

第7章 お前だけは許さない



氷室side



は2年前のあの日から、ずっと一人で抱え込み本音を人に見せなくなった。どんなに辛くても、苦しくても、誰かを頼ろうとはせずに、一人で歩こうとする。
それでもオレは、例え受け入れては貰えずとも側にいられるだけで嬉しかったんだ…。
だけど、もう逃げる事は許されない。
あの男が再びオレたちの前に現れたのなら、今度こそを守る。もう二度、あの男に手出しはさせない。





***




「…本当はずっと怖くて辛かったんだよね。側にいられなくてごめん、ずっと側で守ると誓ったのに」



彼はずっと支えてくれた、私の体が汚れてしまったと知っても、ずっと側にいてくれた。だからこそ、彼から離れないといけないと思った…。彼が大切にしてくれる、その優しさを失う事が何よりも怖くて、嫌われるくらいなら私から離れようと思った、でも本当は…彼と幸せになりたかった。



「辰也には…幸せになって欲しいから…だから、もう私の事は」

「君と一緒に幸せになりたい。君を失えば…俺には幸せ等あり得ない」

「…私は、貴方に相応しくないッ…!」

「は…誰よりも綺麗だよ。昔と何も変わっちゃいない。ずっと綺麗だ…」



抱き締められた腕の中で、は声もなく涙を流す。
氷室と再会して助けて貰って、もう二度と会えないと決めていた氷室と、また会う事が出来た、望んではいけないと思う楔を氷室は容易く打ち砕き、殻の中から助け出してくれる。



「たつ…ゃ…ッ…」



消え入る様な声でそう囁いてから、は静かに泣き続けた。暫くするとから寝息が聞こえてきたので、氷室はそっとマットへ寝かせると着ていたジャージを脱いでにかけて立ち上がる。



「ゆっくり休んでおいで、。ここからの脱出方法を必ず見つけてくるよ。」



愛おしげに髪を撫でに囁いた氷室は、前を向き歩き出す。

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