第7章 お前だけは許さない
「理由は察している、だが…それ以上騒げば、彼女を更に苦しめ兼ねない。お前は少し頭を冷やせ」
「…ッち、分かったよ。だがこれだけは覚えておけ、ここで妙な真似をしてみろ、お前は確実に助からねーぞ。」
「ハッ、この俺に忠告とはお前も甘いヤローだぜ。」
舌打ちをしてナッシュの胸ぐらから手を離した火神はそのままと氷室の側にかけて行く。
赤司は火神が行くのを見届けてからナッシュに向かい直り、目尻を吊り上げた。
「今はまだ何も言う気はないが、大人しくしていてもらう。全員が揃った時、貴方への尋問をする。」
「…随分と舐めた口を叩くな、何様のつもりだ?」
「今は何も話す気はないと言った筈だ、大人しくしている気がないのならこの場から出て行け。」
「…フッ。」
一触触発なオーラを放つ二人に、近づくことも出来ずに見ていた待機組メンバーである黄瀬は、嫌な汗が額を濡らす。
「…あんな赤司っち久しぶりだ」
「久しぶり?」
「大会終わってから、昔に戻ったッスけど、まだ怖い部分が抜けてないんすね。大丈夫かな…」
「本当だな、さんが心配だ」
「森山先輩、やっぱり可愛い女の子に目がないんすね」
ずっと騒ぐわけでもなく成り行きを見守っていた黄瀬だが、赤司がナッシュに見せた雰囲気の変化を敏感に感じ取り、焦りを見てると同じ学校の先輩である森山はを心配そうに見つめているので、黄瀬は苦笑いを浮かべてしまう。
「馬鹿者、可愛いからではない、彼女は可愛い上に優しい女性だ、正に天使だ、俺のこの手で守ってあげられたら…次こそは俺が彼女と一緒に行くぞ!」
「…何なのこの人、気持ち悪いわね。」
「まぁ…どちらにしても、あの金髪ヤローとは仲良くなれる気はしねぇな。」
「それは同感ね。」
森山が顔を赤らめ天を仰ぐ姿に、実渕は呆れたように溜息を吐き宮地はナッシュを見つめてから視線を横たわるに向ける。
そこでは傷付いた体を起こそうとするを支える氷室がいた。