第4章 経始【進】
それは紛れもなく血であった。
それに気づいた時、私は痛みに顔を歪めた。
?「ありゃ?今頃痛みに気づいたの?鈍いね」
手に付着した血を舐め取りながら目を細めてこちらを見下ろしているこの御方は、確か資料によれば太刀の髭切様だ。
いや、名前を思い出している場合ではない。
痛い。とてつもなく痛い、
直ぐに切れたことに気が付かなかったのは、恐らく、あまりにも髭切様の斬撃が速すぎたからなのだろう。
髭切「うわぁ、凄く甘くて濃厚な血、僕こんなの初めてだ。独り占めしちゃいたい位美味しいよ。
人間の血なんてどれも不味いと思ってたけど、
君、神気高いだけあって、中々だよ」
そのまま傷口に顔を埋め、次から次へと溢れ出る血を舐めとる髭切。
その姿に、他の刀剣男士達は動揺を隠せないでいた。