第4章 経始【進】
?「それじゃあ、一番は僕でいいかな?」
聞いたのは建前で、異論はあっても認めないと言う風に周りの返事を待たず男は初に馬乗りになった。
そして、悲鳴をあげる暇も抵抗する暇もなく両手を上で拘束されてしまう。
私の手を抑えていない方の手で、鞘から刀を抜き取り、刃先を私に向ける。
?「ありゃ?震えてるねえ。怖いのかい?」
そう問いかける男は、八重歯を剥き出しにて笑みを浮かべながら、なんの躊躇いも無く私の着ていた服の上部を、刀で斬り裂いた。
露わになった私の肩から鎖骨を手でなぞり、
?「人の身って、本当に脆いよね。」
と、どこか楽しそうにそう言い終えたと同時に、私の首を風がなぞった。
?「わぁ、綺麗な紅だねぇ、人間なのにこんなに綺麗なの持ってるんだ。」
この御方は何を仰っているのだろう。
そう思っていると再び男は肩を手でなぞって自分の口元に手を持っていった。
すると、その手の先には先程までとは違い、紅が滲んでいる。