第4章 経始【進】
?「人の子よ、そなた昨日この本丸に来たというのによく生きておったな。」
そう男が告げると周りから
「図太いやつめ、まるで雑草だ」
「いやゴキブリではないか」
などと、卑下する囁きが聞こえてくる、
男は気にもとめず、言葉を続けた。
?「誰か、そなたを匿っていたやつでもいたのか?」
その問いに続き男の近くにいた白髪、長毛そして獣の耳を思わせるような跳ねた毛を頭の左右に持った男が口を開いた。
?「ふん、そうでもなければこの本丸で人の子が朝を迎えられる事などありえぬからな」
鶴丸「まぁ、その考えが妥当だな。さっきまでは来派の部屋にいたが、その前はどこにいたんだ?」
もしこの場で大和守様の名を口にしたら、彼は憎い人間を匿った裏切り者として、最悪の場合斬られてしまうのだろうか?
それは流石にない。...という確証は正直ないし、少なくとも良い扱いは受けないだろう。
ならば言って良いはずがない。
?「さっさと答えぬか!!!」
と、先程の白髪長毛の男が声を荒らげるが、それを制し、静かに鎮座し続ける男が問を続ける。
?「正直そこは、今はどうでも良いのだがな。
後でゆっくり聞けば良いこと。
それよりそなた、鶴丸の話が真ならば、神気も高く、霊力も強いようだな。」
ならば、この位いても平気だな…
最後にぼそりと呟いた次の瞬間、1人が飛び出してきて、私を押し倒した。