第4章 経始【進】
愛染「無理には、いいんだぜ?
もしかしたら、蛍はもう人間の姿になりたくもないのかもしんねーし...
あっ、でも!!さっきのは凄っかったよな!あの、俺の傷いつの間にか治しちまったやつ!
あんな風に蛍もばびゅっと出来ちまえねーの...?」
興奮と不安が入り交じった形容し難い表情で見つめられて困ってしまう.....。
···そうだ。その手があったではないか。
まだお二人だけだし、はっきりと確信があるわけではないが、もしかしたら...。
私は徐に近くに落ちていた硝子片を手に取り、指先を切った。
愛染「っな!? なにしてんだよ!?」
私の突然の行動に戸惑い、止血しようと手を差し伸べて下さる愛染国俊様を優しくなだめ、
溢れてきた血を試しに蛍丸様の傷に垂らしてみた。
尚も驚きを隠せない様子の愛染国俊様と私自身も不安のため、二人で固唾を呑んだ。
...蛍丸様の傷は一向に治る気配がない。
刀剣男士様達は人間の血で傷が回復する
というのは私の思い違いだったのだろうか...
これではいよいよ本当に困ってしまった。
だが愛染国俊様は明らかに私の血を舐めたことで、傷が癒えた...大和守様も.........
そこで大和守様が仰っていたことを思い出した。
安定「初といっぱいチューしたお陰で、元気いっぱいだしね!」
大和守の口からその台詞が出るに至った行為まで思い出し、赤面する初の顔を、愛染が心配そうに覗き込んだ。