第4章 経始【進】
『愛染様?確証はありません。なのでお約束は出来ませんが...。
私に、蛍丸様に触れる許可を頂けませんか?
何が出来るかは、正直分かりませんが、審神者としてこの本丸に来たからには、傷ついた刀剣男士様を目の前にして放っておくことなどできません。
私に、蛍丸様を治す機会を頂けませんか?』
私のために、若しくは自身を慰めるためか。
無理に上げられていた口角は、ゆっくりと下がっていった。
私を真剣な眼差しで見据える愛染国俊様を、私も目を逸らさず見つめ返す。
愛染「...蛍丸を........治してくれんのか?」
寸刻の沈黙の後、愛染国俊様はそう問いかけてきた。
『はい。...お約束はできません。ですが、私の持てる力を全て駆使して、思いつく限りの出来ることは全てやらせて頂きます。
それに...私も蛍丸様にお会いしたいです。』
愛染「.....ありがとう...」
まだ何も出来ていないのにお礼をされてしまってはなんと言うべきなのだろう...小さな拳を強く握りしめ、私を信頼して ありがとう の5文字を下さった愛染国俊様。
この期待には必ずお答えしなくてはならない。