第4章 経始【進】
暫くはしゃぎ回った愛染国俊様は突然、ピタリと止まり、ある一点を見つめた、
その視線を辿れば、蛍丸様の御本体だった。
そういえば、大和守様も愛染国俊様も御自分の御本体はしっかり帯刀していらっしゃる...昨日私に斬りかかっていらした方々もあの刃は御本体だろう...
それなのに、何故蛍丸様は御本体をこの様な場所に置かれているのだろう.......
まさか、、、いや、そんなはず...
私の心を見透かしたように、愛染国俊様はこう呟いた
愛染「蛍、もう一年以上このまんまなんだ...
もう、人の姿にはなれねぇのかな.......」
やはり...蛍丸様は何らかの理由で人の身になれなくなってしまわれたのだ...
その理由というのは恐らく、この真ん中から大きく入った傷だろう...。
手入れ の文字が浮かぶが、説明は受けたが一度も実践をした事の無い素人が、いきなりこの様な傷治せるわけが無い。
いや、手練であっても頭を抱えるレベルなのではないだろうか...
刀剣男士様達の傷を癒してあげたい、心を埋めてあげたい。
そう思ったばかりなのに...。
自分の不甲斐なさに嫌気がさし、拳を握りしめた。
私の姿から全て悟った愛染国俊様は、
この空気をとり払うように、明るい声で
愛染「あ、あんたは悪くねぇよ!!
気にしねーでくれ!
それに、俺を治してくれただけで十分感謝してるぜ!!
いやぁ、ホンットにすげぇなー!あははっ」
と、仰って下さったが、
一瞬で空元気とわかった。