第4章 経始【進】

手を差し出され、握手しようとした時、手首から血が出ていたことを思い出した。

少年、元い愛染国俊様は、一瞬罰が悪そうはお顔をしたと思ったら、突然私の手首に吸い付いた。

困惑する私に構わず、愛染国俊様は傷を舐めたり吸ったりし、血が出なくなった頃ようやく満足そうに口を離した。

愛染｢あーーー、美味かった！
傷つけちまってごめんな.....今のはぁ...お詫びだ！｣

そう言って立ち上がった愛染国俊様の身体は、先程までの状態が想像できないほど、傷は跡形も無くなっていた。
大和守様といい、刀剣男士様というのは、人間の血で傷が回復できるのようになっているのだろうか.....
それならばいくらでも差し出すが、流石に全員分治せる程差し出してしまうと私が死んでしまう.....
それは避けたい...等と考え眉間に皺を寄せていると

愛染｢あれ！？なんか身体が軽ぃ！！！
傷がない！！？どうなってんだ！？
あんたの力なのか！？
すっげーーな、どうやったんだ！？
今までの怠さが嘘みてぇーー！！！｣

そう愛染国俊様はしゃいで飛んだり走ったりなさる。
...あれ？刀剣男士様は皆様そういう仕様になっているのではないのか？
...謎は増えるばかりだが、愛染国俊様の傷が治ってよかった。