第4章 経始【進】
『どうか泣かないで下さいませ?
私が貴方様に怒ることなんて何一つ御座いません。
寧ろ、大切なお仲間に勝手に近づいてしまったことをお詫びさけて下さい』
そう言って微笑むと、少年は困惑の表情を浮かべてこちらを見上げた
『こちらの事情は、昨日然る方にお聞きしております。
それで皆様が、人間を憎むのは当然のことです。
なので、いくらでも私にぶつけてください。
全て、受け止めます。
ぶつけて空いた空間はゆっくり、少しずつ埋めていきましょう?
そして、宜しければそのお手伝いを私にさせて頂きたいんです。』
目を見て、一言一言を慎重に伝えていく。
私の言葉にみるみる目を丸くしていく少年は、ぽかんと口をあけながらも、聞き入ってくれた。
そして、瞳に残っていた涙を拭い、ニッと白い歯を見せて笑ってくれた。
?「おれ、人間にそんなこと言われたの初めてだ。
人間は大嫌いだけど、
なんか、あんたなら信じていい気がする。」
そして、あっと何かを思い出し
「俺、愛染国俊!来派の二代、通称二字国俊が打った短刀だ!」
よろしく と言ってまた笑ってみせてくれた。