第4章 経始【進】
思い切り胸を打ち付けたことと、突然の恐怖に中々声を出せずにいると、背中から声が降ってきた。
?「お、おい。お前、新しく政府が送ってきた審神者なのか...?」
背中に感じる重さから察してはいたが、声はまだ幼く、少年だということに気づく。
?「こ、こたえろ!」
何故か先程からどもり気味に声は震えている。
強く押し当ててきた刀もカチャカチャと音を立て、握る手が震えていることが伺えた。
『失礼しました。私は、昨日漬けでこちらの本丸で審神者として働かせて頂くことになりました。初と申します。
昨日中にご挨拶に伺えず、申し訳ありませんでした。』
ここで嘘を言ったって仕方ながない、そう思い真実を告げる。
出来るだけ、冷静に。
理由は分からないが相手がこちらに怯えているような気が伺えるため、少しでも私が害がないということを証明したかったのだ。
?「...っ...やっぱり.....
な、なんで一日経ってもまだここにいるんだよ!!
もうとっくに誰かに殺られてもおかしくねぇのに...」
さらっと恐ろしいことを告げられるも、確かに昨日既に二度も死に目にあっているため、本当の事だ...。
?「ど、どっかに隠れてたんだろ!?
でももう無駄だから、な!!きっとすぐに太刀のやつらがきて、お前なんか一捻りだ!!!
それに...お前...蛍に触ろうとしただろ!!」
最後の一言に反応する。
ほたる.....蛍?季節的に今は蛍はいないし、私はここに来て蛍は目にしていない。
つまり、この方が仰っているのは、虫ではなく“刀”の蛍だろう...