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清廉の君に紅を【刀剣乱舞】

第4章 経始【進】


階段に差し掛かった時、何かの気配を感じ期待も込めて勢い良く振り返った。
しかし、後ろには誰の姿もなく、思い過ごしかと肩を落として階段を登り始める。

昨日もくまなく本丸内を歩き回ったのだが、特に1階を重点的に探した。
そして大和守様のいらした部屋は2階で、寸刻前まで私が歩き続けていたのも2階である。
そしてこの本丸の最上階、3階に足を踏み入れた。
昨日とは何ら変わらず、埃の膜のできた廊下が静かに続いていた。

覚悟を決め足を進める。
これまた静かに並ぶ障子には至る所に穴があり、裂け目から朝の光を廊下へと届けていた。

改めてここの荒れ様を目の当たりにし、心が傷んだ。

...ふと、奥の方の部屋の障子が、少しだけ開いていることに気づき、足を運んだ。
中を除くとここも他と同様壁紙は剥がれ、襖も床もボロボロただった。

一つだけ違うことは...刀が机の上に置かれ、朝陽を反射して輝いていることだろう。
そのあまりの美しさに思わず見とれてしまい、気づけば部屋の中に足を踏み入れていた。

その時、突然背中に衝撃を受け私は前のめりに倒れこんだ。
すると誰かが私の背に馬乗りになり、首筋に硬く冷たい者...刃を当ててきた。
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