第9章 番外編
それはとトラファルガーが恋仲になってから初めて新たな島に上陸した日の事だった。
以前はトラファルガーと共に行動をしていただったが、1人で街を歩いてみたいという彼女の申し出により今日は夜になったら酒場で合流する予定となっている。トラファルガーは渋りに渋ったが強い押しに折れ、必要な金を渡しそれを財布に入れたは小さなリュックサックに仕舞い長い髪をポニーテール状に縛り、活気盛んな春島の街を見て回っていた。
「ふふ、凄く賑やかな島。」
暖かな気温はとても過ごしやすく、の気持ちも浮き立つ。好きな服を買い、必要なものを買い揃えた彼女は何か食べ物は無いかと島のカフェやレストランを見て回っていた。物珍しさについ目移りをしていると、不意に誰かとぶつかる。
「わっ…す、すみません!」
「あぁ、大丈夫……え?」
振り返った背の高い男はを見るなり目を大きく見開いた。彼女はその意味が分からず小首を傾げ男を見詰める。
「…私の顔に何かついていますか?」
「……い、いや!おれの知り合いにそっくりだったからびっくりしたんだ。」
「そうでしたか。それでは失礼しますね。」
「……ちょっと待って!」
男の手が去ろうとするの手首を掴んだ。止められると思っていなかったはビクリと肩を揺らし目を丸くして彼を見る。
「なぁ、おれと少しでいいからお茶して行かねェか?」
大きなシルクハットにゴーグルを付けた金髪の青年はの身長に合わせて軽く身を屈め笑った。唐突な誘いには少し戸惑ったが、元はといえばぶつかってしまったのは自分だし…。そう考えると断る事が出来ず首を縦に振る。何より、彼の笑顔がどこか懐かしく感じたのだ。
「はい、ご飯を食べようかと思っていたところでしたので、是非。」
「そうか!ならオススメの店が有るからそこに行こう。多分お前も気に入ると思うぜ。」
「ありがとうございます、悩んでいたので助かります!」
そうして青年とは近くのレストランへと入った。は数あるメニューの中からガレットを、彼は大盛りのパスタを注文する。