第8章 7day
が船へ落ちてから7日目。トラファルガーの部屋の前にはシャチが立っていた。扉の奥から聞こえてくる声に、思わず耳をくっつける。
「待って下さい、ロー。心の準備が…!」
「あぁ?んなもん必要無いだろう。一瞬だ、我慢しろ。直ぐに慣れる。」
おいおいおい何してんだキャプテン!まだ朝だぞ!?しかも嫌がってねぇか!?
聞こえてくる声にシャチの頭は混乱した。ただ朝飯が出来たから呼びに来ただけなのに。何故オレがこんなに悩まなきゃならないんだ!そう思うものの迂闊に声を掛けられない。もし自分が想像しているような事が起こっていたとして、声なんて掛けてみろ。バラされてしまう。
「その一瞬が怖いんです!」
「いいから暴れるな。気を楽にしろ。」
「あっ…い、痛くないですよね…!?」
「フフ、さぁな。」
「……やっぱ辞め」
「今更逃げるな。」
ヤバイヤバイヤバイ!無理矢理されそうになってるんじゃねぇのかコレは!!いくらサディストだとしても恋人になのに嫌がる女を無理に抱くのは許せねぇ!
シャチは意を決してドアノブに手を掛け、思い切り扉を開いた。
「キャプテン!!いくらアンタでも無理矢理…女を……アレ?」
「あ、シャチ。おはようございます。」
目に飛び込んで来た光景にシャチはぽかんと小さく口を開けた。とトラファルガーは、ただ椅子とベッドへ座り向かい合っているだけであり、シャチが想像している事は何一つ行われてなどいない。
「…おいシャチ。お前何想像してやがる。」
「え!?い…いや、だって…。」
「おれはただにピアスを空けてやろうとしていただけだ。やましい事はひとつもしていないが?」
そう言って、トラファルガーはニヤリと笑う。シャチは自分が勘違いをしていた事に気が付きみるみる顔を赤くした。
「っ〜〜〜!!朝ご飯!!出来てるんで早く来て下さいよ!」
半ばやけ気味に叫ぶとシャチは勢い良く扉を閉めて出て行ってしまった。そんな後ろ姿には目を丸くする。
「おもしれぇ奴…。」
「どうしたんですかね…?シャチは。」
「さぁな。」