第1章 運命論的encounter
「っ……!!!」
心臓がドクンドクンと脈打つ
視界に映るのは黄ばんだ天井に常夜灯が点いたままの照明器具
カーテンの隙間からは薄っすらと白い光が漏れている
「夢……か」
見慣れた景色にふうっと大きく息を吐く
そこは何ら変わりのない自宅の寝室
手探りで枕元の携帯電話を掴み時刻を確認すると、液晶画面には目覚ましアラームよりも少し早い時間を指している
現実に意識があることに安心しつつも、まだ少し落ち着かない呼吸は否が応でも夢の内容を思い出す
ここへ移り住んだ半年程前から、時々見る夢
暗く怖い夢
これは…おばあちゃんからの警告?
それとも、約束を守れそうにない罪悪感から自分で作り上げたもの?
…どちらにしても……
「あと、一カ月…」
側のテーブルに広げたままの書類を布団の中から見つめると、断ち切るように強く目を閉じた