第12章 サスケ君
「久し振りだな、花奏」
「サスケ君…………、うん、久しぶりだね、どうしたの?こんな所で……、1人?」
数年振りの再会に、つい緊張してしまい、途切れ途切れに、サスケ君に話しかけていた。
「……偶々な……」
冷たくて暗い闇を灯したサスケ君の瞳を見た瞬間、本当に、遠い場所へ行ってしまった気がした。
「…………そ、そっか……、サスケ君、偶然だね……」
「…………ああ」
小さく言葉を発した後、洞窟の奥へ向かい、腰掛けたサスケ君。
余計な会話はするなって事だろうな。私も口をつぐみ、それ以上は、何も言わなかった。
降りしきる雨。黙って濡れて冷える身体をさすりながら座っていた。手先や足先が凍えて寒気を感じる。夜はきっと、熱が出るだろうな……と、ぼんやり外の景色を眺めていた。
すると、奥にいたサスケ君が立つ気配がする。どうしたのだろうと、反対側に顔を向ければ、サスケ君は、木の枝を洞窟の真ん中に集め出し、そして素早く印を結んだ。
火遁・豪火球の術。
丸い火の玉が枝に引火して、瞬く間に、焚き火が出来上がった。暖かなオレンジの光が、洞窟の中をゆらゆらと照らした。
「花奏、来ないのか?」
サスケ君が、小さく聞きながら、焚き火の前に座る。少しだけ、遠慮する気持ちがあった。
「……良いの?その……」
「早く来い」
サスケ君は里を抜けた人。良い噂はあまり最近は出てこない。でも身体が凍える私は、サスケ君の厚意に素直に甘えた。