第4章 瞳
今日確か通院の日だって言ってたが、大丈夫なんだろか。落ち込んでねぇよなーー。
ぼぅっとやる気が出ずに、とりあえず夕食の材料を買いに街を歩いていたら、遠くに花奏がいる。
あの痛々しい包帯を外し、目を爛々と輝かせて走ってくる姿を見て、オレはホッと胸を撫で下ろした。
「良かったな。なんとも無くて。」
「ハイ!視力や見え方も元どおり回復してます。それに目の炎症も無くなりました。」
「それは良かった。じゃあ明日から通わなくて良いんだな?」
「え?………それはお願いします。あんな事毎回されたら、無理です!だけど先生、ありがとうございます。おかげで、そればかり考えて、目の事をあまり気になりませんでした。」
いや、9割以上、
欲望塗れだったけどね。
「んー、じゃ、包帯取れたお祝いに、なんか食べに行こうよ」
「え!本当ですか!やったぁ!わたし、お寿司食べたいー。」
「ああ、良いよ。じゃあ行こ。」
「ハイ!…ねえ、カカシ先生?」
ん?何、て声をかけて花奏を見たら、心臓が跳ね上がった。
「帰り……、わたしの家に寄ってくださいね?」
目が完全に誘っていた。
いや、まだ手は出せないって。
「…いや、それは遠慮を…」
「カカシ先生……ちゃんとこっち見て?」
コイツの目を久しぶりにちゃんと見た。
あーダメだ。オレ、煽り過ぎたな。
完全に大人の女にしてしまった。
「ダメだって。」
「いいですって」
「ダーーメ!」
誘惑はそれから当分続くのだった。
fin