第25章 五条悟 告白の後悔
「硝子ありがと。助かった。すぐによくなったよ」
元気になった五条悟は机の上に、缶ビール6缶セット。それに愛用する銘柄のタバコ1ダースを置いた。
「花奏も礼をしなよ。アンタの家まで薬を運んだよ」
硝子はタバコをくわえて火を灯した。五条悟の顔色が急に変わった。
「夢じゃなかった…」
「なにが? アニメか」
「熱が冷めたら机に薬があったから、花奏はすぐに帰って、だから、ずっと、あれは夢だったって……」
五条悟は固まる。「僕ベラベラとんでもないこと口走ったかもしれない」
「アンタはいつもとんでもないことを喋ってるよ」
「待ってオレ、いや僕……、ええ!?」
五条悟は、あわあわ口もとに手をおった。だんだん赤面してしまうほどだ。「え、どうしようどうしよう」と診察室を右往左往している。それからひらめく。
「花奏は!!? アレも本当ならあの言葉も本当か確かめなきゃいけないよね!」
なんのことだ。アレやらコレやらわかる話である。よくわからない硝子は頭を傾けた。
「あー花奏なら、もう任務からかえって」
そこまでいうと、びゅっと風のように五条悟は走り去った。風が硝子の白衣を揺らした。
硝子の肩が震える。五条悟と同じだった。硝子は最初は、よくわかなくて、はてなマークがいっぱい浮かんでいた。ようやく意味がわかった。
「夢みたいな話で多分間違い」と花奏が呟いたあと動揺して顔を赤くして頬に手をおいて悩んでいた。「え、どんな顔して会えばいいの!?」とひとり慌てていた。
ようやく五条悟と花奏の長い長い片想いに終止符が打たれたようだ。五条悟と花奏が恥ずかしげに、それから笑みも溢れる会話する様子を、硝子は診療所から見かけたのだから。